そんなこんなで今日も行く

弁護士のブログです。主に業務で購入した書籍の紹介をすると思います。

大野病院事件判決(22日加筆)

 大野病院事件の判決が出ました。

 http://www.47news.jp/CN/200808/CN2008082001000750.html

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080820/trl0808201148002-n1.htm

 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080820k0000e040014000c.html

 http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080820024.html

 産婦人科医が過酷な業務環境にいることは、研修の際や知人の話でよく聞いております。
 全国で産婦人科の医師が病院を辞めたり、新人医師が産婦人科を選択しなくなったりしている現状があり、その原因の1つに本事件があったという話も聞いております。
 他方で、仕事の過程において、医療の現場で家族を失った遺族の方の話も聞いたことが何度もあります。遺族の心の痛みも良くわかります。医師が遺族に納得出来る説明できなかったとき(実際にはこれはとても難しいようですが。専門性もありますが、最初から医師に原因があるのではないかと疑うという心理的な問題もあります)、真相解明に気持ちが動くことは、自然なことだと思います。
 ただ、刑事責任を追及するというのは、どうなのか。今回警察は逮捕勾留を求め、検察は起訴しましたが、医療に100%はありませんし、全力を尽くして治療をしたけれど力及ばず・・・というケースが発生しうることを考えれば、やはり刑事責任追及という方法には強い違和感がありました。刑事責任を負わせるというのは非常に重いこと。故意のある事案などに限るべきではないかと考えております。
 本件に関して判決や、今回の手術について解説をした医師のブログ、複数新聞や雑誌、テレビ報道をみた感じ、本判決の無罪というのは妥当だったのではないかと思います。本件に関して、ネットの情報見る限り、逮捕勾留起訴という経緯を辿ったのは、あまりに被告人となった医師に酷だったのではないか。そんな印象がぬぐえません。
 この裁判ですが、控訴はなさそうな雰囲気ですね。
 第三者機関の創設の論議が出ているようですが、刑事裁判という場よりは、良いのではないかと思います。