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隔地者に対する意思表示(民法改正)

 新民法(2020年施行)についてです。

 以下の記述は,私が某所で寄稿した内容に手を加えたものです。

 

 民法97条が改正されています。
 隔地者に対する意思表示について定めた民法97条は,「意思表示の効力発生時期」に改められました。これまでは隔地者に対する意思表示に限定してその適用対象を狭めていたものを,拡張した形になります。もともと解釈上の同様に解されていたので,より分かり易い形に改正したといえるでしょう。
 同条1項は「意思表示は,その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」と規定されることになり,隔地者との文言が削除されました。
 また,97条3項も同様に隔地者との文言を削除しています。これに加えて同項は,「意思表示は,表意者が通知を発した後に死亡し,意思能力を喪失し,又は行為能力を喪失したときであっても,そのためにその効力を妨げられない。」と意思能力が喪失した場合も含むことを明確化しました。

 なお経過措置があります。
 附則第6条第2項で,「施行日前に通知が発せられた意思表示については,新法第九十七条の規定にかかわらず,なお従前の例による。」とされています。

 

参考文献

 

民法(債権関係)改正法の概要

民法(債権関係)改正法の概要

 

 

 

民法(債権関係)改正法新旧対照条文

民法(債権関係)改正法新旧対照条文

 

 

 

実務解説 改正債権法

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