今日は民事債権と商事債権について。
前者が民法上の債権であり、後者が商法上の債権。後者は、営利性迅速性の観点から、民法上の債権と扱いが異なるところがあります。
たとえば法定利息。民事債権では、利息を付すべき債権でありながら特段利息について定めがない場合、その利率は年5分とされています(民法404条)。
これに対して、営利性の観点から商事債権の法定利率は、年6分(商法514条)とされており、商事債権の方が利息は高いことになります。
また、時効についても相違があって、民事債権の消滅時効は10年(民法167条1項)が原則。
これに対して、迅速性の観点から、商事債権の消滅時効は5年(商法522条)とされています。
このような相違から、訴訟においては当該債権が民事債権にあたるのか、商事債権にあたるのかで双方が争うことがあります。
さて、では具体的にはどのような債権が民事債権にあたり、あるいは商事債権にあたるのか。
この点については、商法522条の文言にあるように、その債権が「商行為」によって生じたか否かで判断することになります。
では「商行為」とはなんでしょうか?
商行為については商法上に規定があります。
まずは絶対的商行為(商法501条)で、これはその行為の客観的な営利的性格に注目して、1回限り行われた場合でも、商行為とされるものです。
次が営業的商行為(商法502条)で、営業として為す場合に商行為とされる行為を指します。
最後が、附属的商行為(商法503条)で、商人がその営業のためにする行為を指します。なお、商人の行為はその営業のためにするものと推定される(商法502条2項)ため、商人の行為に基づく債権は原則として商事債権として捉えられ、それを否定する側が商事債権でないことを立証しなければならないことになります。
ここできになるのが商法503条の「商人」の定義。
商人とは商法4条1項で定義されている通り、自己の名をもって商行為をすることを業とするものを言います。
そうすると、結局商行為の定義が問題になるので、503条と4条だけを考えると混乱してしまうかもしれませんが、要するに業として絶対的商行為ないし営業的商行為(あわせて基本的商行為と呼びます)を行う者が商人と定義されます。附属的商行為をやる者が商人、という定義になってしまうと堂々巡りになってしまいますからね。
さてさて、以上を前提に問題を出してみたいと思います。
Aは個人で古物商を営んでいるが、その傍ら、多数の人間に対し、年利15%で金銭の貸付をしている。なお、Aの古物商店は、金銭を借り入れる人間が、ついでに買い物をするため、繁盛している。
AはBに対し、8年前、金銭を貸し付けていたことを思い出し、Bに対して元本と利息を支払うよう請求したところ、Bは時効を援用するとの意思表示をした。
1 Aの請求は認められるか?
2 Bが飲食店を営んでいる場合はどうか。
ちょっと難しいかも?
答えは今週中には書きたいと思います^^